スポーツは以前は体育として教育委員会の所管でした。今は多くの自治体で「スポーツ」として市長部局が所管しています。文化や芸術と同じ部署が扱っているところが多いのではないでしょうか。
代表質問での、千葉ロッテマリーンズ・ファーム本拠地の君津市移転についての質問を紹介します。スポーツを成長産業として捉えて施策を展開すべきという想いで質問をしました。
国の「第3期スポーツ基本計画」では、スポーツを単なる教育・文化活動としてではなく、我が国の成長をけん引する戦略的産業として明確に位置付けています。2012年に約5.5兆円だった国内スポーツ市場を、2025年までに約15兆円規模へ拡大することを国家目標とし、スタジアム・アリーナ改革やスポーツツーリズム、民間投資の呼び込みなどを一体的に進めています。
一方、千葉県では教育・文化としてのスポーツ施策は一定程度進んでいるものの、スポーツを成長産業として捉え、経済波及効果を最大化するという視点は十分とは言えないのが現状です。そこでまず、県内スポーツ産業についても数値目標を定め、戦略的に推進していくべきではないかと問いました。
県からは、県内には多くのプロスポーツチームがあり、その活躍が観客誘引などを通じて地域活性化に寄与しているとの認識が示されました。また、「千葉県体育・スポーツ推進計画」に基づき、プロチームと連携した公式戦招待事業などを実施しているとした上で、スポーツ産業の目標値設定については、国や他県の動向を踏まえ研究していくとの答弁でした。
次に、千葉県の新総合計画案で、アクアライン着岸点周辺が「東京湾岸と房総地域を結ぶ結節点」と位置付けられ、県南地域の活性化や観光・交流人口の拡大、スポーツ・文化を軸とした地域ブランド形成が掲げられている点を踏まえました。
千葉ロッテのファーム本拠地移転は、150億円規模の大型投資を伴う、県南地域では極めて稀なプロジェクトであり、君津市単独ではなく、県南地域全体の振興につながる「県としての戦略的機会」と捉えるべきではないかと質問しました。
県の答弁では、ファーム本拠地は選手とファンの距離が近く、交流イベント等を通じて多くの観客が訪れる施設であり、スポーツツーリズムによる交流人口の増加や、周辺地域への経済波及効果が期待されるとの認識が示されました。
県としても、県南地域の魅力を広く発信し、本移転を契機に新たな人の流れを生み出すことで、地域活性化が促進されるよう積極的に取り組むと答弁がありました。
また、予定地は県管理河川である小糸川と江川に挟まれた低地に位置し、過去には大規模な水害も経験している地域です。盛土により地盤が周辺住宅地より高くなることへの不安の声も多く寄せられていることから、河川の治水対策についても質問しました。
県からは、河川の流下能力確保のため巡視を行い、優先度の高い箇所から堆積土砂撤去や伐木を実施していること、令和2年度からは緊急浚渫推進事業債を活用し、小糸川中下流部や江川で対策を進めており、今年度は君津市貞元地先や上湯江地先で伐木等を実施予定であるとの答弁がありました。
これらを受け、私は意見として、スポーツ産業の目標値設定については、急拡大する市場環境を踏まえ、研究にとどまらず、企業誘致施策など経済分野も含めた具体的な検討を進めるべきと指摘しました。また、県南地域への波及効果を確実なものとするため、道路や公共交通などの公共投資にも十分配慮するよう要望しました。
治水面では、これまでの浚渫や伐木への取り組みに感謝を示した上で、線状降水帯による集中豪雨の増加や、君津地域特有の「砂が溜まりやすい河川特性」を踏まえると、従来ペースでは不十分であると指摘しました。堆積土砂の計画的浚渫、河道内の竹木撤去や除草・伐採頻度の拡大を強く要望するとともに、小糸川下流の人見取水堰についても、利水に配慮しつつ、事前操作・事前放流を含めた治水的運用の検討を提案しました。
これからも千葉ロッテ・ファーム本拠地移転という大きなチャンスを、県南地域全体の発展につなげられるよう、引き続き取り組んでいきます。
