12月18日に行われた知事の定例記者会見で、 「ミラチバプロジェクト(ちば部)」の抽選について、熊谷知事は18日の定例記者会見で「 真摯( しんし)に反省すべきだ」と話した。と読売新聞に書かれていました。千葉:県事業30代以下のみで抽選 若者支援 知事「反省すべきだ」 :地域ニュース : 読売新聞
これは私の12月代表質問の内容を踏まえたものです。きちんと間違えを認めていただいた姿勢に評価をしつつ、その時の質問内容を紹介します。
県が進める「ミラチバプロジェクト(ちば部)」は、若者の交流機会を創出し、人と人とのつながりを広げることを目的とした事業です。
令和7年度補正予算でも位置付けられ、約7,000万円という多額の県費が投じられています。
私はこの事業について、「若者の交流促進」という点自体は否定しません。
人のつながりが地域の活力につながることは、その通りだからです。
しかし今回、事業の目的の曖昧さと、初回イベントにおける参加者選考の在り方について、看過できない重大な問題が明らかになりました。
まず、事業の目的はどこまでなのかを問いました。
県の説明では、単なる婚活ではない若者の出会いやつながりを応援する取組結果として、将来を共にする人との出会いにつながる可能性もあるとされています。
しかしこれは裏を返せば、若者交流なのか、少子化対策なのか、結婚支援なのかが明確でないということでもあります。
約7,000万円もの税金を使う以上、誰のための何を目的としたどのような成果を目指す事業なのかを、県民に対して明確に説明し、成果目標を設定すべきです。
続いて、初回イベントで起きた「抽選」をめぐる問題について、質問しました
「ちば部」第1回イベントとして行われたのが、千葉ロッテマリーンズ観戦交流イベントでした。
定員:100名に応募者:369名であり、 募集要項に「応募多数時は抽選」と公表していました。
応募者と当選者の内訳は以下のとおりです。

ところが、当選者100名は全員30代以下、さらに男女比は男性50名・女性50名と完全に同数でした。県の答弁では、20代・30代を優先した男女の偏りが出ないよう同数にしたと説明されました。
しかし、これは極めて重大な問題です。
抽選とは、応募者全員に等しく当選の機会を与え、無作為・公平に選ぶ行為です。
40代以上の方(約4割)が、最初から抽選の対象外だったのであれば、それはもはや抽選ではありません。
実際、落選者に送られたメールには「厳正なる抽選の結果」と書かれていました。しかし、抽選にすらかけられていない人が存在するのです。この通知は事実と異なります。

40代以上など163名の落選者は、今も「抽選に外れた」と思っているでしょう。なぜ落選したのか、本当の理由を知らないままです。
県は「ホームページに抽選方法を掲載した」と答弁しましたが、それで済む話ではありません。
極めて類似した過去の司法判断として、
2005年、国と京都市が共催したタウンミーティングにおいて、「応募多数時は抽選」と公表しながら、恣意的に参加者を除外した事件がありました。
いわゆる京都タウンミーティング事件です。この件では、
「無作為の抽選を行わず、公正な抽選を経たように装って通知したことは、公務員の職務義務に反し、国家賠償法上の違法性がある」として、国家賠償責任が認められています。
今回の事例は、抽選と公表しながら恣意的な除外、公正な抽選をしたかのような通知、という点で極めて類似しています。
最も危惧するのは組織の姿勢です。
県は「やり方の説明や広報が不十分だった」としていますが、これは問題の本質を矮小化しています。
本当に問われるべきなのは、「40代以上は外そう」という判断がなされたときそれを止められなかった組織体制です。行政に対する信頼を損なう行為です。
私は、抽選にすらかけられなかった応募者に対し、直接・確実に届く形で説明と謝罪を行うべき、今回の件について、県には事の重大さを真摯に受け止め、猛省を求めたい、と指摘させていただきました。
その後多くのメディアで取り上げられましたが、再発防止に努めていただきたいと思います。