先日の代表質問においてこの問題を取り上げました。各地で管路の老朽化に起因する事故が起き始めており、誰かが問題提起しなければいけない事です。
利害関係者が多く、業界団体の支援を受けている人は取り上げられないでしょう。私ならやれるし、やるしかありません。
国も、改正水道法に基づき「水道の基盤を強化するための基本的な方針」や各種ガイドラインにおいて、施設更新・耐震化の加速を明確に求めています。
こうした中で今回は、老朽管更新工事の“入札制度そのもの”が、更新加速の足かせになっているのではないか、という観点から質疑を行いました。
【須永の発言①】
老朽管更新工事に「新規参入」は可能なのか
現行の県企業局の入札制度では、老朽管更新工事に参加するために「元請けとしての施工実績」が必須条件となっています。
しかし、老朽管更新工事は建築や土木と違い民間発注がほぼ存在しない工事です。民間発注を受注して元請け実績を作ることができません。このため、どこにも“最初の一歩”を踏み出す場が存在しません。
どれだけ技術力があり、どれだけ長年、一次下請けとして現場を支えてきた事業者であっても、元請け実績がないという理由だけで、入札参加の資格すら与えられない。
これは実質的に、「下請けは一生下請け」という固定化された身分制度ではないでしょうか。
そこで「どうやったら水道老朽管更新工事に新規参入できるのか」質問しまします。
【県の答弁①】
工事を確実に完成させるため、工程管理などを担う元請けとしての施工実績を要件としている
新規参入の方法としては
① 市町村や企業団などで同種工事の元請け実績を作る
② 元請け実績のある業者とJVを組む
という方法が考えられる
【須永の発言②】
二つの方法を言ったが、この答弁は現実を踏まえていません。
一つ目について、市町村や企業団も、県と同様に元請け実績を絶対条件としているため、そもそも入札に参加すること自体ができません。
二つ目のJV(共同事業体)については、元請け実績のある事業者から見れば、JVを組むことは将来の競合相手を自ら育てる行為です。現実的に協力が得られるとは考えにくい。
つまり、
県が示した二つの「新規参入の方法」は、どちらも実効性を欠く“机上の空論”であり、実態としては新規参入が不可能な制度となっています。
そこで再質問します。「一次下請けとして十分な実績を積んだ事業者については、入札参加資格を認めるべきではないか」
【県の発言②】
県営水道では事業は概ね計画どおり進捗している。入札参加資格を満たす事業者は常に20者以上確保できており、現時点で元請け業者が不足しているとは認識していない。
将来的な減少は懸念されるため、今後、他水道事業体の状況を見ながら検討する。
【須永の指摘】
私が問うているのは「元請け業者が足りているかどうか」だけではありません。
どんなに努力しても、入札に参加する“チャンスすらない制度が公平なのか”という点です。
仮に県営水道単体で問題がないとしても、管工事業者が老朽管更新工事に集中すれば、他の公共工事で入札不調が多発することになります。
実際に、袖ヶ浦市の特別支援学校では管工事が不調となり繰越、銚子水産事務所の空調設備改修工事では、指名競争にもかかわらず不調、これらもすべて管工事です。
今後、体育館の空調整備、学校トイレの洋式化といった事業が本格化すれば、現行制度のままでは入札不調が常態化しかねません。
水道法の目的は、現行制度を守ることではありません。
安全・安心な水を、将来にわたって供給し続けることです。
そのためには、一次下請けとしての施工実績、技術者としての現場経験、これらを正当に評価し、
「一定年数の一次下請け経験があれば入札参加を認める」
といった制度見直しが不可欠です。
県営水道だけの問題ではなく、県全体の公共工事を持続可能にするため、入札制度の抜本的な改善を強く求めていきます。
以上がやり取りの概要です。この質問は業界紙である「日刊建設タイムズ」に取り上げられました。わかりやすくまとまっているのでぜひご一読ください。
下請け実績評価を/企業局の入札制度に指摘/須永県議 | 日本工業経済新聞社
