下請けという身分制度

地方議員の方はご自分の自治体の入札要件をチェックしてみてください。元請けとしての実績があることが入札に参加する絶対条件となっていませんか?それはまるで身分制度です。

おそらく県議会本会議でこの問題を取り上げたのは初めてだと思います。利害関係者が多くそれだけ触れてはいけない問題とされてきました。

元請け実績がないと入札に参加できないとするのは、「下請けは一生下請けでいろ」という事です。

元請け業者の既得権益を守っているだけであり、公平ではないと厳しく指摘しました。

以下に9月県議会での千葉新政策議員団代表質問のやり取りを掲載します。

須永 質問

・下請け実績を評価した入札制度について

下請け企業は実際に現場で工事を行うことが多く、その技術力や過去の実績は最終的な工事品質に大きく影響します。

また、地方の中小企業が下請けとして実績を積んでいる場合、それを評価することで地域経済の活性化に寄与します。

現在の千葉県発注の公共工事の一般競争入札においては元請け実績が条件となっているため、どんなに下請け実績を積み上げても元請けに入ることができません。

多くの従業員を雇用していても、機械を持っていても、経営事項審査がAランクでも、防災協定を結んでいても、元請け実績がなければ県発注の公共工事に参加できません。

入札に参加できないというのはチャンスすらもらえないという事です。

これは元請け企業の既得権益を守っているという疑念を生みます。

公共工事において下請け実績を評価することは、入札の透明性や公平性、工事の品質やコスト、安全性の向上に寄与し、長期的に見て社会全体にとっても有益です。

そこで伺います。
下請け実績を評価した入札制度に改善すべきと思うがどうか。

副知事 答弁

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づき国が定める指針では、競争参加資格の設定に当たり、対象工事について施工能力を有する者を適切に選別し、適正な施工の確保を図ることとされています。

県では、同指針を踏まえ、一般競争入札において、同種工事の施工実績、地理的条件、専任の技術者の配置等をもとに競争参加資格を設定しています。

このうち施工実績については、公共工事を確実に完成させるために、受注者が工程管理など工事全体の総合的な管理監督機能を担う必要があることから、元請での実績を評価しておりますが、今後、国や他県の状況などを調査・研究してまいります。

須永 再質問

下請け実績の評価についてですが、元請け実績を入札参加の絶対条件としているのは、実質的には元請け企業を守っているだけであり、工事の品質の確保にはつながりません。

元請け実績の問題点を明らかにするために再質問をします。

元請け実績は、法人としての企業にあるのか。それとも経営者や従業員にあるのか。

県土整備部長 答弁

建設業において、企業は法人としての業の許可や入札参加資格などを取得しており、入札に
おける元請け実績についても各法人の実績を評価しているところです。

須永 指摘

元請け実績について、どこにあるかという質問に対して、法人の実績という答弁でした。

これは法人の経営者や従業員がすべて変わったとしても、元請け実績は残るということです。

つまり、過去に元請け実績さえあれば、登記簿上の法人が存続していれば、元請けができると
いうことです。

実際の工程管理や工事全体の管理監督能力を担保するものではありません。

例えば、ど素人の私がこの元請け企業を買ったとしても、元請けができてしまう。
中の従業者や経営者を全部入れ替えたとしても、元請けに参加できるということです。

一方で、多くの下請け実績があって、管理監督能力もある経営状況も優良な企業は、元請けでき
ないというのが、現実の実態となっていて、これは公正ではありません。

埼玉県のように下請け実績を評価し、公正にチャンスのある入札制度への改善を求めます。

以上が本会議でのやり取りです。質問回数に制限がなければいくらでも矛盾点を追及できる内容です。

動画は千葉県議会ホームページから見ることができます。

千葉県議会 本会議録画中継