合理的な理由なく指名されていない事業者さん、声を上げてください!

昨年12月、岡山県吉備中央町の議会で一つの議案が可決されました。

吉備中央町の土木業者が、町の発注する工事の指名競争入札で合理的な理由なく参加できなかったのは違法だとして損害賠償を求め裁判を起こしていました。

業者は、入札資格を満たしていたにもかかわらず3年間指名されず、162万円余りの損害賠償を請求していました。

町は今後、この業者を排除しないことや、一般競争入札の機会を増やすことを約束し、議会でも全会一致で和解が承認されました。

一方で、業者を指名しなかった理由について町は具体的な説明をしませんでした。

町を訴えた事業者は、「私だけでなく、ほかにも入札に参加したいのに指名が受けられない業者がいる。去年やむをえず提訴した後、町はそれまではあった木の伐採業務の随意契約も私の会社には出さなくなり、訴えを取り下げさせようという圧力だと感じた。町の中の誰の指示で指名外しが行われていたのか分からないが、今後は法律に基づいて適切な入札を行って欲しい」と話したそうです。

吉備中央町 入札めぐり提訴された業者と和解へ|NHK 岡山県のニュース

指名競争入札における指名業者選定理由について質問した場合、行政側の答弁はだいたい「地元だから~」「災害協定が~」となります。

しかし地元とは、工事現場から何キロ以内なのか?その範囲内に支店があればいいのか?など定義がはっきりしません。

また災害協定も多くの場合は建設業組合など組合として行政と協定を結んでおり、組合加盟事業者でも指名されない事業者はいます。

つまり行政側は「指名した理由」は言えても「指名しない理由」を合理的に説明できないケースが多々あります。今回裁判所が和解案を示し、それを町側が受け入れたのも敗訴する可能性が高いからでしょう。

2010年11月25日の名古屋高裁判決でも、岐阜市の「悪意に基づく恣意的な指名回避」と違法性を認める控訴審判決が出ています。

指名競争入札における岐阜市提訴について|公共工事に関する取組み

私は令和3年6月君津市議会において設計業務委託の指名競争入札の矛盾を指摘し、改善していただきました。

もし合理的な理由なく指名されないという事業さんいましたら、ぜひ声を上げていただきたいです。