熱海の土砂災害と残土条例

西日本を中心に災害級の雨が警戒されています。
土砂災害のあった熱海市で避難生活を送る方々も心配していることでしょう。
熱海の土砂災害の原因が残土の埋め立てにあるとわかってきました。
報道されている情報を見る限り、明らかに危険な埋め立てをしていたように思えます。
なぜこんな雑で危険な埋め立てが行われてしまったのか?

熱海市には残土条例がありません。
熱海市議会のホームページから議事録の検索ができるので、会議録検索ページで「残土条例」とキーワード検索しましたがヒットは0件でした。

残土条例は、千葉県市川市が全国で初めて昭和55年に「市川市土砂等による土地の埋立,盛土及びたい積の規制に関する条例」を制定し、その後千葉県内及び首都圏の市町村を中心に制定の動きが広がりました。
君津市議会のホームページから会議録検索で「残土条例」を検索すると82件ヒットします。
条例制定までの道のりはかなり大変でしたが、君津市も平成25年から残土条例を施行しています。
(経緯については右下のブログカテゴリ45山砂・残土問題を読んでみてください)

君津市残土条例では以下のように厳しく決まっています。

・ 新たに埋立て区域の水質の安全基準を設けます。
・ 埋立て区域から 10m以内の土地所有者の承諾が必要になります。
・ 埋立て面積が 3,000 ㎡以上のときは、埋立て区域から半径 300m以内の世帯の 8割以上の承諾が必要になります。
・ 事前協議が必要になります。
・ 埋立て等に使用する土砂等の発生元を千葉県内に限定します。
・ 埋立て区域の表土の検査が必要になります。
・ 暴力団員等には許可しません。
・ 土砂等管理台帳の作成を義務付け、土量報告の頻度を増やします。
・ 地質検査と水質検査の頻度を増やします。

不法投棄をする業者はルールの厳しいところから甘いところへと移動し、残土条例を制定していない自治体が狙われます。本来は国全体での規制が必要だと考えます。
「熱海市に残土条例があれば土砂災害を防げたか」ということに関してはもっと検証が必要です。
ただ、議員が全国の先進地事例を勉強し、自分の自治体に導入できるか検討することは非常に重要です。

今後も調査と提言を続けていきたいと思います。