氷河期世代から見た小泉改革 その3

小泉改革と言えば派遣社員の増加です。

2004年に施行された労働者派遣法の改正が、派遣社員の増加に影響を与えました。

この改正により、それまで派遣労働が禁止されていた業種にも派遣が認められるようになり、派遣労働者の範囲が大幅に拡大しました。

改正により企業側には短期的なメリットがありました。

企業は人件費の削減や、経済状況に応じた柔軟な雇用調整が可能となり、業績向上に繋がるケースがありました。
特に、グローバル競争が激化する中で、企業がコストを削減するために派遣労働者を利用したことは、企業の利益の確保に役立った面があります。

一方で多くの長期的な問題をもたらしました。

派遣労働者は一般的に正社員に比べて低賃金で働くことが多いため、労働者の消費力が低下し、長期的に個人消費の停滞を招きました。

それが今まで続く景気全体の低迷をもたらしました。

また、非正規雇用が増えたことで、正社員と非正社員の間で賃金格差や福利厚生の差が広がり、社会的な不安定性が増しました。
これが消費や景気回復の足かせとなったのも事実です。

要するに、派遣法改正によって一部の企業や業界にはコスト削減のメリットがあったものの、長期的には労働市場の不安定化や個人消費の低下により、長きにわたる景気の低迷をもたらしました。

厚生労働省が発表している「労働者派遣事業報告書の集計結果」より、労働者派遣事業の年間売上高を見てください。

このグラフの売上高の単位は億円です。
令和3年度の労働者派遣事業の年間売上高は、8兆2363億円です。
(令和4年度の年間売上高は8兆7,646億円(対前年度比:6.4%増))

mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199493_00024.html

小泉改革により労働者派遣法が改正され誰が得をしたか、明らかだと思います。

自民党総裁選において小泉進次郎議員は「解雇規制の見直し」を掲げています。これがどういう結果をもたらすか、おそらくご本人も深く考察していないと思います。

痛みをともなう小泉改革は、企業の利益の対価に国民が痛みを負った改革でした。