鴨川メガソーラー計画をめぐる安全性と制度の課題

12月県議会の代表質問で鴨川メガソーラーについて取り上げました。この問題は自民・立憲・公明の3会派も取り上げたので、4番目の質問者として重複しないように工夫しました。

最新の情報では事業者の大規模な区域外伐採が判明し、県は厳正に対処するとしています。以下に質問と答弁の概略を紹介します。

本計画をめぐっては、地元住民から、土砂災害リスク、谷埋め盛土の安全性、河川や周辺環境への影響、さらには住民説明の不足など、極めて重大な懸念が数多く寄せられています。急峻な谷地形を大規模に造成する計画であることに加え、近年の豪雨の頻発を踏まえれば、土石流や崩壊のリスクは決して軽視できません。

林地開発許可制度や盛土規制法の趣旨は、「事故が起きてから対応する」のではなく、危険が予見される段階で行政が動くことにあるはずです。

県には、法令に基づく監督権限の行使だけでなく、県民の生命・財産を守るという道義的責任があると考えます。そこでまず、先日開催された第1回有識者会議の結果について伺いました。

県の答弁によれば、11月18日に、土木工学、森林、行政法など多様な分野の専門家で構成する有識者会議を開催し、県から事業計画や関連法制度、これまでの対応状況について説明を行ったとのことです。

委員からは、
・大規模に伐採された残置森林について、地質を踏まえた適切な復旧方法を検討する必要性
・工事工程における安全性確保の重要性
・近年の災害発生状況を踏まえた検討や、住民への丁寧な説明の必要性

などの意見が示されました。今後は、委員が現地確認を行った上で、災害防止や環境保全の観点から、さらに幅広い意見を聴取していくとしています。

次に、林地開発許可制度の構造的な問題を指摘しました。

千葉県では、許可後の事業休止について、休止期間や回数の明確な上限規定がありません。その結果、鴨川メガソーラー計画では、休止届が10回提出され、3年以上にわたり事業が事実上停止していたにもかかわらず、自動的に再審査される仕組みが存在しませんでした。

一方、新潟県では休止期間を2年に制限し、島根県邑南町では5年を超える着手延期を再審査対象とするなど、長期停滞を前提にした制度設計を行っている自治体もあります。

こうした事例を踏まえ、千葉県でも、長期休止時の期間制限や再開時の再審査を明文化した制度を検討すべきではないかと問いかけました。

県の答弁では、森林法には休止・再開の手続規定がないため、県独自に条例を制定し、休止時には届出を義務付け、休止期間は原則1年以内としているとの説明がありました。ただし、回数制限は設けられていないのが実情です。また、再開時の再審査規定はないものの、本計画については規模が大きいため、現行のより厳しい審査基準に適合するよう、行政指導を行っているとしています。

これに対し、私は意見として、
「休止期間が1年以内でも、回数に上限がなければ、何度でも繰り返せてしまい、事実上無期限と同じだ」
と指摘しました。実際に10回も繰り返された鴨川の事例は、制度の抜け穴を象徴しています。早急な制度改善が必要であることを強く訴えました。

関連して再質問として、事業区域内の井戸の確認状況を尋ねました。

県の答弁は、「飲用井戸については存在していないことを確認している」というものでした。

しかし、これは裏を返せば、農業用井戸や湧水、絞り水など、飲用以外の井戸については確認していないということになります。山間部では、飲用以外の井戸や湧水が存在することは珍しくありません。これらを把握しなければ、排水計画や流量計算の正確性を欠き、盛土の安定性にも重大な影響を及ぼします。

井戸の存在を把握しないまま排水を考慮せずに盛土を行えば、崩壊リスクは確実に高まります。
飲用以外の井戸を確認していないのであれば、当時の審査は本当に適切だったのか、排水計画や配水管の耐久性は妥当だったのか、第三者による再検証が必要ではないかと提言しました。

鴨川メガソーラー計画は、単なる一事業の問題ではありません。
今後、同様の大規模開発が各地で想定される中で、県がどのような姿勢で安全性を確認し、制度を運用するのかが問われています。

「問題が起きてから」ではなく、「問題が起きる前に」。
予防原則に立ち、県民が納得できる説明と制度整備が行われるよう、引き続き厳しくチェックし、提言を続けていきます。

鴨川メガソーラーは止まるか!?千葉県国土利用計画地方審議会について その3