11月5日に令和6年度第二回コンプライアンス委員会が開催されました。
千葉県は昨年度の県土整備部職員による贈収賄事件の再発防止策として、第三者委員会が策定した「再発防止に向けた取り組み方針」に基づいて、建設工事の入札・契約制度の見直しを行う事を公表いたしました。
主な内容としては、
1.指名競争入札の範囲を5000万円未満から2000万円未満に
2.一般競争入札の資格要件に「地域要件」や「災害協定締結要件」を設定可能に
3.事務負担軽減のため資格審査を事後審査型に
4.不正の場合の指名停止期間を延長、厳罰化に
5.前年度の建設工事等の入札・契約結果(入札方式、予定価格、当初契約金額、落札率、契約業者等)を一覧表にまとめて公表
です。
まず1.の指名競争の範囲縮小ですが、「非常に甘い」です。神奈川県で250万円未満、埼玉県で1000万円未満です。せめて1000万円まで下げるべきです。
↓以下は令和5年6月の私の一般質問議事録です。
国土交通省の公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドラインにも、競争参加者の設定方法の選択に当たっては、原則として一般競争入札を選択するとあります。しかしながら、本県の入札においては予定価格5,000万円以上が一般競争入札、5,000万円未満が指名競争入札となっていて、指名競争入札の範囲を広く取っています。埼玉県では1,000万円未満、神奈川県では250万円未満です。栃木県、茨城県、群馬県、山梨県なども千葉県より指名競争入札の範囲を縮小しています。
千葉県の指名競争入札には、私の地元企業からも苦情が来ています。例えば、令和4年度の君津土木事務所発注の土木一式工事を見ると約50件ありますが、そのほとんどが同じ十数社で指名されています。指名12社が全く同じという入札も1件、2件ではありません。つまり、指名されているのは地元企業ではなく、地元の一部の企業です。これが実態です。このような実態だからこそ、県の指名競争入札を何とかしてくれという苦情が私のところにも上がってくるのです。5,000万円以上が一般競争入札、5,000万円未満が指名競争入札というのは全国でもごく少数であり、地方自治法の原則に従い一般競争入札を適用する金額を見直し、一般競争入札を拡大すべきだと考えますが、見解を伺います。
問題なのは大きな抜け道を全くふさいでいないことです。
それは千葉県だけがしている「国土強靭化事業の工事は1億円まで指名競争入札にできる」という謎ルールです。これを廃止しなかったことからも相当指名競争参加業者に忖度した見直しだと言えます。
↓以下は令和6年9月の代表質問での私の発言です。
再発防止策として一般競争入札の拡大をしていくという方針ですが、本県では国土強靭化に関する工事について1億円未満まで指名競争入札を適用しています。これは抜け道とも言うべきやり方です。
1都3県で国土強靭化に関する工事であることを理由に指名競争入札を適用しているのは本県だけです。そこで伺います
国土強靭化に関する工事の入札を指名競争入札としている運用を見直すべきだと思うがどうか。
2.入札の資格要件については、特定の業者に取らせるために事実上一社に絞るような要件設定さえしなければ問題ないです。
3.の事後審査は再発防止には直結しませんが事務負担軽減としては効果的です。
4.の不正の際の指名停止期間延長は良い改善だと思います。不正のリスクを厳しくすることは抑止力になります。
5.の入札・契約結果の公表は私が要望してきたことが実現しました。落札率まで一覧で公表されることにより抑止力になると思います。
残念なのは入札事務の一元化に全く触れていないことです。これでは必ず再発します。過去の逮捕事例などからもわかるように不正の多くには「○○事務所所長」などの肩書、いわば出先機関の職員が関係しています。
公務員でも民間企業でもコンプライアンスの高い人ばかりではありません。入札にかかわる事務をできる限り本庁で一元化し、秘匿情報を知る人間を減らすことが有効なのは明らかです。
なぜこのように業者に過度に配慮したような見直しとなったのか、今後も不正防止のために指摘していきたいと思います。