千葉県は宿泊税の導入を決めたという報道がされました。
これは方向性を決めただけであり、今後条例を策定し、議会に上程され可決されなければ最終決定とはなりません。
議会が否決すれば導入できないわけですが、最近の県議会は二元代表制とは思えないほど知事に寄っているので私はあえて厳しい事を書いておきたいと思います。
まず、観光業(観光施設など)と旅行業(旅行代理店など)と宿泊業(ホテル・旅館など)は別だと考えて下さい。
宿泊税の検討は、千葉県は今後取り組むべき観光振興施策をするために約45億円必要であり、安定財源を検討する。という点からスタートしています。
この観光振興施策のメリットを受けるのは宿泊業だけでなく、観光業も旅行業も大きなメリットを享受します。
であれば、宿泊客一人一泊当たり150円を検討すると同様に、観光施設への入場料一人150円とか、大型観光バス1台につき2000円、なども検討するのがフェアです。
観光にかかわる様々な業種の中でなぜ宿泊業だけを狙い撃ちするのか、その説明が不足しています。
利用者目線からすれば、人材育成や駐車場・公衆トイレの整備など、様々な観光振興施策の恩恵を受けるのは宿泊客だけでなく日帰り客も受けるので、その点からも宿泊客だけに払わせるのはフェアとは言えません。
宿泊税は宿泊施設があればこその税です。
その宿泊施設は個人の資産です。
それを使い税収を得ようとするならばせめて約45億円の大部分は宿泊施設の老朽化対策、耐震化、増改築などに使えるようにするべきです。
しかし現状公表されている資料では44億円の中の14億円の中のさらに一部に小さな文字で「宿泊施設等の改修、廃屋の撤去」と入っているだけです。
宿泊施設があるおかげでとれる税収だという事を考え再検討すべきです。
また県境近くのビジネスホテルなどは、「一駅すぎれば茨城で宿泊税がかからず安い」という状況になり、成田空港関連の長期滞在などのお客さんが減る可能性があります。
鉄鋼関連企業やコンビナートがあり長期滞在が多い内房地域にも影響があると思われます。
千葉県観光振興財源検討会議が3月に設置されわずか8か月、早急すぎる気がしますし、この検討会議のメンバーにJTBの研究員が入っているのも疑問です。
旅行業と観光業はリスクを負わず恩恵を受けるので推進するのは当たり前です。
また市町村単位で導入している自治体も多く、県全体でやらなければいけない理由が弱いです。
宿泊業者に最も恩恵があり、宿泊業者が納得する形でなければ宿泊税を導入するのは時期尚早だと思います。